Violinear

ガミガミ120分、実質練習時間5分

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エチュードでも曲でも、お子様が練習しはじめるやいなや、お母様の感情はいきなり沸点に。

おやじの頭にやかんを載せても、沸騰するまでには少し時間がかかるはずですが、ヴァイオリンのおけいこの場合はそうはいきません。

一気に、やかんのふたが怒気で吹っ飛んでしまいます。一音出しただけで、その音程、発音、音色、左手の位置と形、ヴィブラート、右手の弓の位置・圧力・速さ。呼吸、立ち方、姿勢、構え方・・・。たった一音で、山ほどのチェックポイントが出てきます。

それらのどのポイントができていて、できていないか。これを瞬時に判断して、適切な指示を与え、矯正していく。しかし、その場で指示を与えて、矯正しても、すぐにできるようにはならないものです。

ここは忍耐が必要なのですが、お子様のレッスンに真剣に向きあうお母様であるほど、あるべき演奏とわが子の現実とのあまりのギャップの大きさに絶望感を隠せません。

結果、120分練習時間があったとしても、お子様が弾いていた実質の時間はたったの5分。後の時間は、アドバイス、注意、説教、叱責のオンパレードです。

お子様は抵抗し、号泣し、言い返す。やがて、いさかいは大バトルへ発展し・・・

長いおけいこ道。苦しいことのほうが多いのですが、いつもこの繰り返しが続き、実質の練習時間がトータルで完全に不足するという事態だけは避けなければなりません。

2~3年経って、練習不足の影響が現実のものとなってきます。「この2~3年、ずっと言い続けてきたのに、上達しなかったのはあなたの努力が足りなかったせい」「結局、才能がなかった」・・・。

怒るのは簡単です。それをこらえて、地道な努力をさせることはとても難しい。その難しさに真正面から取り組むことにこそ、上達の秘訣があるのかもしれません。

ヴァイオリンは根性や負けん気だけではどうにもならない技能の世界です。職人が地道な努力の継続で、技を身につけていく。そういったプロセスをこそ本道と考えるべきではないでしょうか。

photo credit: born1945 via photopin cc

 悲観的な人は風に文句を言い、楽観的な人は風向きが変わるのを待つが、現実的な人は帆の向きを風に合わせる。
(The pessimist complains about the wind; the optimist expects it to change; the realist adjusts the sails)

ウィリアム・アーサー・ウォード(効く言葉 List

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