選別の場を離れた地点から
日本には拍手を禁じているコンクールがある。
審査の妨げになる、というのがその理由だ。
コンクールはあくまでも「受かるか、落ちるか」を決める選別の場。入試と同じという考え方なのだろう。
運営も客席も常に「コンテスタント・ファースト」の姿勢が際立つ「国際ジュニア音コン」のような存在はごく少数派で、たとえ拍手が許されていても、形だけに留めてしまう。そんな暗黙のルールが、日本の大多数のコンクールの客席を支配している。
それは欧米とは真逆の状況だ。
若い奏者の演奏を心から楽しみ、温かい拍手を送る。感動すればブラボーも起こる。コンクールであろうとなかろうと、それは関係ない。
過去のコンクール動画は、選別の場を離れた地点から、奏者の演奏にじっくりと耳を傾ける貴重な機会を提供してくれるはずだ。
良い演奏を聴けたことへの自然なリアクションを日本のコンクールの客席にも呼び起こしたい。
その端緒になることを願って、この動画集をお届けする。
「第8回(2015)国際ジュニア音楽コンクール」ヴァイオリンC部門(小3・4)
第1位 鎌田 桜帆 さん
サラサーテ 作曲 / 序奏とタランテラ
第2位 阿久津 泰平 さん
クライスラー 作曲 / 前奏曲とアレグロ
第2位 岸 万美子 さん
ラロ 作曲 / スペイン交響曲 第1楽章(一部省略)
第3位 鈴木 胡桃 さん
ブルッフ 作曲 / 協奏曲 第1番 第1楽章
第3位 後藤 真由 さん
ベリオ 作曲 / 協奏曲 第9番 第1楽章
第4位 中山 梨華 さん
クライスラー 作曲 / 前奏曲とアレグロ
第5位 前田 紗 さん
A.E. Wier 作曲 / Gipsy dance
第6位 嘉藤 瑞希 さん
アッコーライ 作曲 / 協奏曲 第1番
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