「億」が当たる確率など考えるのもばからしいのに、宝くじを買ってしまう。そして当選番号発表の瞬間を「もしかしたら・・・」と心待ちにしている。
宝くじの効用は、幸せを射止めようとしている時間をひととき持てる心地よさにあります。
一方、コンクールは本来、実力勝負の世界。しかし、どう考えても入賞は無理と思われるのに、発表があるまでは「もしかしたら」と、期待をもってしまう。発表までは、一縷の望みがあり、それを実感することができるのです。
緊張感と裏腹のそのような実感が持てるのは、コンクールの効用と考えましょう。それぞれに努力してきた成果を発表し、その審査結果が出るまでの時間は、だれもが皆、「やり遂げた」という充実感に包まれているはずです。
どのようなコンクールも入賞者は限られていますし、1位は原則1人しか選ばれません。コンクールで入賞することを目的、あるいはミッションにできるような実力者などは限られています。
これまでの成果を発表するという達成感が得られ、「もしかしたら」の射幸心の時間がひととき持てることをコンクールのすべてと考える位の余裕で、どんどんコンクールを受けていく。
その心境に立ってはじめて、コンクールは結果ではなく、それへ向けての努力のプロセスなのだという真理に思い至ることができるはずです。
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