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アナタとゆき過ぎの女王 ③ 愛さえあれば

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感嘆詞

レッスン中に頻繁に発せられる女王の感嘆詞。

ひとつずつ、よく聞いていると、ある法則性が浮かび上がってくる。

 ゲーーーッ!
 デ?
 ア~~ッ・・・
 エ----ッ!?

ヴァイオリンの弦は、低いほうから、G(ゲー)線・D(デー)線・A(アー)線・E(エー)線。

女王は、感嘆詞までもが、弦の音に忠実だった。

罰として・・・

多くの生徒を抱える門下には、幼稚園児から音大生まで、実に幅広い年齢層の生徒たちがいる。

この世界では、「年功序列」はなし。

先輩・後輩関係も、もちろん成立しない。

すべては技量しだい。

うまいか、へたか、それだけだ。

下級生が上級生よりもうまいのは、日常茶飯事。

音大生よりも小学生のほうがうまい、という唖然とする事実に遭遇することも、ままある。

そのような厳しい実力の世界で、女王の逆鱗に触れてしまった音大生に与えられる、罰とは・・・

 あなたに言っておきます。

次のレッスンまでに、この曲を完全に仕上げて、持ってくること。

もし、

持ってこなかった場合は、

持ってこなかった場合は・・・

罰として、

メリーさんの羊の前座 をつとめてもらうわ。

思い知りなさい。

注釈
この世界は実力主義だが、門下生の発表会の演奏順は、幼稚園児→小学生・・・→音大生と、学年順に進行するのが通例。

一応、年功序列を慣習的にわずかに残しているこの発表会の演奏順において、「メリーさんの羊」を弾く園児の前座を務めさせられるということが、一体どれほどの屈辱を意味するのか?

そしてさらに恐ろしいことに、

「メリ-さんの羊」のほうが、事実、うまかったりしたら・・・
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photo credit: brianwc via photopin cc

ノー・プロデュース、すべて自前

レッスンでは時に、女王ご自身の愚痴が出たりすることがある。

それを聞くのも生徒のつとめ。

というよりも、この世界の厳しさを知るための、勉強のひとつである。

 ああ、秋ね。秋だわ。 お蕎麦がおいしい季節。

お蕎麦食べたいわね。 お蕎麦・・・

そう、お蕎麦は「手打ち」に限るわね。

だけどね。 だけど・・・

私が開くリサイタルがね、リサイタルが・・・

リサイタルが「手打ち」というのは、

本当に、本当に、悲しくて、虚しくて、やりきれない!

ということで、

12月の私のリサイタルのチケットがあるんだけど・・・

10枚でいいかしら?

はい、先生。20枚頂きます。

注釈
この種のリサイタルは、だいたいが、自前プロデュース。お客さん兼チケット売りさばき要員は、門下生。ただし、正価で売れることは稀で、売れ残りはすべて門下生が買い取る暗黙のルールが存在する場合も。
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photo credit: hira3 via photopin cc

愛さえあれば

これから進むべき道については、誰もが悩む。

夢はあった。今でもある。

でも能力には限界がある。

究めていくことは苦しいことだ。そして、苦しみの先が見えないから、なおさら苦しい。

自分ひとりで悩み、闘っていくことの辛さ。

ヴァイオリンをやめたいと言ってきた門下の中学生に。

 私だって、今までにヴァイオリンをやめたいと思ったことは何度もあります。

その度に、小さい頃の演奏を録音で聴いてみた。

あの頃は、何も考えないで、ただ舞台に立って演奏することが楽しかった。

練習は苦しいもの。レッスンは厳しいもの。

でも、あなたが、ステージでお客さんに向かって演奏することに、今でもまだ喜びを感じているのなら、ヴァイオリンをやめたらだめ。

喜びを感じるものを、簡単に諦めてはいけないわ。

あなたは音楽が好きでしょ?

音楽を愛しているでしょ?

その気持ちがあるのなら、今はとにかく我慢して練習を続けることが大切。

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 演奏家になったり、オケに入ることだけが、音楽の道ではありません。

一生、ヴァイオリンを弾いていく。いつもヴァイオリンが自分のそばにあって、それを奏でることに喜びを感じられる人生を送ること。

だって、音楽なのだから。

音を楽しみ続けましょう。

それが最高にして唯一の到達点です。

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 ヴュータンは壮大なスタイルで書きました。その音楽はどこをとっても豊かでよく響くものです。自分のヴァイオリンをよく鳴らそうと思うなら必ずヴュータンを弾いてほしいですね。

ウジェーヌ・イザイ(List

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