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「脱力」をどう教えるか?

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「弓は握りしめないほうが楽」と気づかせる

ピアノでもヴァイオリンでも専門家を目指すとなると、「脱力」をうるさく指導します。

何といっても実際に「弾くこと」を職業にするわけですから、極力無駄を省いた身体の使い方を習得しないと長続きしないからです。

ヴァイオリンでは「弓を持たない=握らない」ことを指導します。小学生のうちは弓を握り締めていてもどうにか弾けてしまうのですが、これが中学・高校と進むうちに弾けなくなります。

弓を握りしめていては細かな弓の毛の分量の調節、先弓の滑らかな返しができません。

対策としては、肩を落とし、肘も必要以上に張らず、指も極力はずした形でのエチュードの練習を組み込みます。

このとき、先弓に近くなると、どうしても弓を握りたくなるのですが、そこはぐっと我慢してさらうこと。大きな音を出そうとしないようよく注意します。

エチュードで慣れてきたら、今度は曲の速いパッセージで弾かせてみます。本人が「あっ、この方が楽々弾ける」と思えるようになれば、地道な練習にも熱が入ってきます。

早期に「脱力」を教える弊害

ただし、「脱力」の指導には時期があります。

熱心な指導者・保護者が陥りやすい間違いは、まだその時期が来てもいないのにやたらに形だけ教え込み、できなければ「駄目だねえ」「どうして分からないの」「こんなのもできないようではプロは無理だね」と言い放つことです。

熱心な指導者がなるべく早いうちに、と充分な下準備がないうちに「脱力」を指導する。すると子供も指導者や保護者の期待に応えようとするあまり、短期間のうちに何とか格好をつけて弾いてしまう。大人もそれで「じゃ、次の段階ね」と先に行ってしまう。

しかし、本当に理解したわけではないので、応用が利かず曲の難しいところに来るたびに引っかかる。

変だ変だと思いつつ、自宅練習を増やして何とか切り抜ける。年を経るごとに、追い込みのたびに、肩や腕の付け根が筋肉痛、二の腕が腱鞘炎で故障が多くなってくる。

一度見てください、と言われて観察すると、肩は上がっているわ、手首から先はがちがちだわで、例えば親指と人差し指だけで弾かせてみると、腕が全く動かない、力を入れなければ動かないようになってしまっています。

「脱力は?」「もう何年も前に習いました」「できていないよ」「そのときはできていたんですが・・・」

子供のうちは無理をしても弾ける。無理をして弾いている。しかしその時期は長くは続かない。このことを大人は頭に叩き込んでおくべきです。

自分の身体がコントロールできているか

脱力を指導する目安は「自分の身体を自分でコントロールできるようになっているか」です。

具体的に言えば、スケールなりエチュードで曲に使える程度の速さを保ちつつ、例えば「先弓5cmで弾いて」「手首のヴィブラートを2回づつ入れて」「ヴィブラートを頭の1音だけ掛けて4音セットで」等々の指示を出した場合に、それがきっちり守れるようになっているかです。

「何だ、そんなことか」と思われるかもしれませんが、一見簡単な指示が実は守れないで弾いている子は意外と多いのです。

先弓5cmが先弓1cm空いてしまっている。手首のヴィブラートが指の「ちりめんヴィブラート」にすりかわってしまう。1音だけ掛けるはずが、惰性で次の音に掛かってしまう。

これはすべて、まだ自分の身体を自分の思うとおりに操れる段階にないからです。

そうした子供にできないからといっていくら怒鳴っても、身体が萎縮してしまって悪循環です。

子供には個人差があるのですから、どうも通じないと思ったら、こうした指示がひとつづつこなせるように、前の段階に戻るのをためらってはいけません。

「まだ早い」のは「駄目」なのではありません。

速いパッセージでリズムが転ぶ、アルペジオで移弦が遅れる、途中でフレーズが切れるといった症状は、ほとんどがむきになって弾いているために弓を握り締め、弓の動きが阻害されているからです。

ただでさえ曲を通すと奏者は緊張するものです。

脱力を指導する際には、決して焦らないことが何より肝要です。

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photo credit: Steve Snodgrass via photopin cc

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 ヴュータンは壮大なスタイルで書きました。その音楽はどこをとっても豊かでよく響くものです。自分のヴァイオリンをよく鳴らそうと思うなら必ずヴュータンを弾いてほしいですね。

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