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正しく弾いても予選落ち?-「学生音コン」小学校の審査傾向

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「第55回(2001年)全日本学生音楽コンクール」の小学校と中学校の部の課題曲は以下の通りでした。

【小学校の部】
予選:ヘンデルのソナタ2番1・2楽章
本選:ヴィエニヤフスキ協奏曲第2番1楽章

【中学校の部】
予選:タルティーニ「悪魔のトリル」1・2楽章
本選:サン・サーンス協奏曲第3番1楽章

中学はともかく小学校の部は第52回の組み合わせ(ヘンデルソナタ第6番&ブルッフ協奏曲第1番)の相似形です。あの時は予選がヘンデルということで記念受験組もおり、予選通過後は地獄の日々を送られた師弟の話も聞きました。

今回はヴィエニヤフスキに二の足を踏むか、それとも52回と同様の経緯を辿るか・・・・しかし慣れた先生ならヘンデル・ヴィエニヤフスキ両者の語法は既習済みですから、9月までには2曲とも目処が立っているはずです。

小学校の部では専門的な評価はあまり関係ない

「学生音コン」には、将来つく先生を探していらっしゃる保護者の方も大勢聴きに来られていますが、小学校の部では専門的な評価はあまり関係ない、ということを頭に入れて聴いて頂きたいと思います。

イントネーションもぐちゃぐちゃで浪曲師もどきの弾き方でも異様な気迫があって入賞する子、逆に小学生とは思えない大人びた音を出す子、つまりは舞台に乗せたときに他とは明らかに違う、という処にどうしても審査の比重がかかりやすいのです。

この点、中学校は将来のクラシックの専門家、と観点が絞られていますからきちんと勉強してきた方には、納得できる結果が得られるはずです。

コンクールそのものには賛否両論がありますが、予選の時点では、取りこぼしは殆どないといってよいと思います。この水準で自分の耳で聴きながら採点し、合否を付き合わせたときに納得できるかどうか、あるいは現在ついている先生から納得のいく説明が受けられるかどうかが今後の進路を決める上でのキーポイントになるでしょう。

ちなみに、なるべく後ろの席で聴くと楽器を鳴らす技術をきちんと教える先生かどうかの判断がつきます。また、ウン百万もする楽器を弾く子が次々と落ちる様子を目の当たりにすることで、「あの子は高い楽器を持っているから」という誤解も解けるでしょう。

補足

結局、この第55回大会(2001年)・小学校の部の予選出場者数は、明らかに「ヴィエニヤフスキに二の足を踏む」結果となった。

東京大会の出場者は70名。1999年の79名(本選曲はヴュータン4番)、2000年の76名(本選曲はラロ)と、減少したが、翌年の2002年は本選にモーツァルト4番1楽章が出され、増加に転じた。

2001年~2005年の東京大会・小学校の部参加者数と課題曲の推移

  • 01年: 70名(予選:ヘンデル2番1・2楽章、本選:ヴィエニヤフスキ2番1楽章)
  • 02年: 87名(予選:ベリオ9番1楽章、本選:モーツァルト4番1楽章)
  • 03年: 78名(予選:ヘンデル1番1・2楽章、本選:ブルッフ1番3楽章)
  • 04年: 100名(予選:クライスラー、本選:ハイドン1楽章)
  • 05年: 128名(予選:クライスラー、本選:バレエの情景)

予選・本選の課題曲の難易度の変化(実際の難易度とは別に、技巧的な要素が少なく組し易いとの印象も伴う)によって、参加者数が増減する傾向があるのが見て取れるが、これは、その10年前にも起こっていた。

1990年~1994年の東京大会・小学校の部参加者数と課題曲の推移

  • 90年: 67名(予選:クロイツェル、本選:ヴィエニヤフスキ2番1楽章)
  • 91年: 98名(予選:クロイツェル、本選:シュポア2番1楽章)
  • 92年: 88名(予選:クライスラー、本選:バレエの情景)
  • 93年: 113名(予選:ヘンデル3番1・2楽章、本選:モーツァルト5番1楽章)
  • 94年: 124名(予選:ヘンデル4番1・2楽章、本選:ベリオ:7番1楽章)

とはいえ、課題曲が繰り返し出される中で、近年の出場者のレヴェル向上は顕著であり、実力の粒は揃ってきている。

ヴィエニャフスキ2番1楽章やブルッフ1番3楽章が、出場を思いとどまらせる曲とはもはや言えない状況となっている。

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photo by Lombroso

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 ヴュータンは壮大なスタイルで書きました。その音楽はどこをとっても豊かでよく響くものです。自分のヴァイオリンをよく鳴らそうと思うなら必ずヴュータンを弾いてほしいですね。

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