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ウィーン・フィル、新コンサートマスターを発表

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ブラジル系ドイツ人、30歳、ケルンWDR響コンマス

伝統と格式を誇る世界最高峰のオーケストラで、重責を担うポジション。しかも、在任45年の名コンサートマスター、ライナー・キュッヒル氏の後継となれば、選考は難航を極めるのも当然だった。

2年に及ぶ後任探し。2014年11月と2015年6月には、一般告知のオーディションが開かれた。

公正性や透明性に対する世間の批判を考慮、公式フェイスブックで選考の様子が写真付で紹介された。

さらにオーディションの公募広告に、「ウィーン国立歌劇場は女性の割合を増やすことを目標にしており、特に才能ある女性の応募を求めています」との一文も添えた。

奏法と音質の統一性を重んじるあまり、長年に渡り団員構成の多様性には背を向けてきたが、もはや時代の波には逆らえない。改善の姿勢を示す変化と見て取れた。

しかし、2度のオーディションでは結局、合格者は出なかった。

2度目の最終選考では、ウィーン国立歌劇場のオーケストラ・ピットで、マリス・ヤンソンス氏指揮の同歌劇場管弦楽団と演奏する課題が与えられたという。

当然、コンマスとしてオーケストラをどう率いていくかが厳しく審査されたのだろうことは想像に難くない。

その後、3度目のオーディションが開かれたという情報には接しなかったが、定年(65歳)を1年間延長したキュッヒル氏の退任が2016年8月末に迫る中、もはや時間的猶予は残されていなかった。

そして遂に、2015年12月16日、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団とウィーン国立歌劇場管弦楽団は、2016年9月1日より新しいコンサートマスターとして、ジョゼ・マリア・ブルーメンシャイン氏(30歳)との契約が決まったと発表した。

これまでのルールに則れば、2年ほどの試用期間を経ての正式契約になると思われる。

ブルーメンシャイン氏はブラジル系ドイツ人で、1985年フライブルク生まれ。

マンハイム音楽大学でヴェラ・クラマローヴァ氏に師事。2001年に渡米して、シカゴのカーティス音楽院でボストン交響楽団のコンマスを22年間務めたジョゼフ・シルヴァースタイン氏(2015年11月に83歳で死去)に師事した。

国際コンクールは、「2003年ルイ・シュポア国際ヴァイオリンコンクール」第3位、「2006年ティボール・ヴァルガ国際ヴァイオリンコンクール」第3位等の入賞実績がある。

2007年にフィラデルフィア管弦楽団でアシスタント・コンマスとなり、2010年からはケルンWDR交響楽団で第1コンマスを務めている。2014-15年シーズンにはバイロイト祝祭管弦楽団(指揮:クリスティアン・ティーレマン氏)でコンマスを務めた。

ブラジル系ドイツ人で、主にアメリカで研鑽を積み、ウィーンで学んだ経歴はない。

かつてのようにウィーン音楽院で学び、団員から直接指導を受けた奏者のみを採用する方針は、ウィーン自体が多国籍化・多様化しつつあるグローバルな現代の団員選考においてはもはや成立し得ない。

その中で、ウィーン・フィルはどのようにして伝統を守っていくのだろうか。

photo by de:user:Hieke

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伝統の継承と新たな音の創造に向け

コンマス選考のポイントとなったのは、2011年にウィーン・フィル初の女性コンマスに就任したブルガリア人のアルベナ・ダナイローヴァ氏と同様、主要なオーケストラですでにコンマスとして重責を担う経験を積み重ねてきたこと。

そして、恐らくはその若さ(30歳)だろう。

奏法・音質・解釈の継承は、グローバルな滋養の中で育った伸びしろのある俊英に託される。

彼らは、熟達した演奏スキルとこれまでのコンマスとしての経験値を拠り所に、「ウィーン・フィル」でしかあり得ない独自の音の創造に参画し、やがてはこれを主導していかなければならない。

新風を吹かせることを期待される彼らは、また一方で、当面は団員から伝統を「叩き込まれる」立場でもあるだろう。

伝統の継承と新たな音の創造。

その難事業を長期に渡って成就していくことが、音楽監督や首席指揮者を置かない自治独立組織たるこの世界最高峰オケのコンマスに求められる役割と言えるのかもしれない。

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photo by Ctny

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  • コメント ( 2 )
  • トラックバック ( 0 )
  1. José Maria の表記がホセ・マリアとスペイン語音なのはなぜでしょう。
    ブラジル系ですから、ポルトガル語音のジョゼ・マリアのほうが相応しいと思われますが。

    • Chifumi 様
      表記についてご教示頂きありがとうございます。
      記事に修正を加えました。

 弦だとか弓の毛だとか、そんなことを意識しているようじゃだめなんだ。ヴァイオリンは弾くものじゃなく、歌うものだ。

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