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【鬼親①】 居たたまれない郵便配達員の “証言”

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郵便配達は一度もベルを鳴らさない

ああ、あそこの赤い屋根の家ね。よく知っているよ。平日の午後は、いつもすごい怒鳴り声が聞こえてくるからねえ。

1階の居間からだよ。窓が開いていると、そりゃあ凄い。爆弾だ、あれは。

こっちが震えあがっちまうよ、本当に。

なにもあそこまで、滅茶苦茶な叱り方しなくてもいいと思うんだけどなあ。

「いつもいつも同じこと言わせないで。」ガタ~ン。バシ~ン。
「どうするの、こんなんで。明日レッスンでしょ。」ビシ~ン。ボシ~ン。
「泣くな! 泣いている時間がもったいない。」バコ~ン

とかね。

だいたい、いつも同じようなことを、凄い剣幕でがなりたてているなあ。

物ぶつけたり、叩いたり、いろんな物音が聞こえてくる。

そりゃあ、恐いよ。

そんでもって、最後は、さあ。

「それなら、やめろ!」「出て行け!」ガラガラバッシャ~~ン、かな。

玄関から、泣きすがる子供を追い出そうとしている光景を見たことがあるよ。

速達や書留めの配達でハンコをもらう必要がある場合は、その家の玄関の呼び鈴を鳴らそうと思うんだけどね。

この怒鳴り声が聞こえくると、やっぱり呼び鈴は絶対押せないやね。

いたたまれなくなってしまう。

仕方がないから、不在通知を郵便受けに入れて、逃げてきたこともあった。

そうすると、後で、局にクレームが来るわけ。

「私はその時間確かに在宅していたのに、なぜ不在通知なの?」って。

またこっちのほうでも、凄まじい剣幕。

もっと、穏やかにできないものなのかねえ。

ところで、この家の子は、何やってるの?

えっ、ヴァイオリン? ヴァイオリンなの?

ヴァイオリンの音なんて一度も聞いたことないけどね。そうなんだ。

いつも、いつも、怒鳴り声のオンパレードだからね。

* このシリーズはすべてフィクションです。

photo credit: RubyGoes via photopin cc

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 ヴュータンは壮大なスタイルで書きました。その音楽はどこをとっても豊かでよく響くものです。自分のヴァイオリンをよく鳴らそうと思うなら必ずヴュータンを弾いてほしいですね。

ウジェーヌ・イザイ(List

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