なんとかして欲しいコンクール直前の「ドタギャー」
コンクール直前の控え室で、みんなが練習している時に、ことここに至っても、凄まじい剣幕で、怒鳴りちらしている親がいるわね。
「そんな演奏で、これから舞台に立てるとでも思ってるの?」って、おいおい。
直前にそんなこと言ったら、普通、子供のモチベーションは完全にダウンでしょ。
言ったところで、直せるはずないのだから、黙っていればいいと思うんだけど。周囲の眼や耳なんか、一切お構いなし。
怒りがツボにはまっちゃうと、私たち伴奏者の存在さえも忘れて、
「何よそれ、もう、出るのやめなさい!」と、そこまで言う。
コンクール直前の土壇場で、ギャーギャー、ギャーギャー言うので、「ドタギャー」と呼んで、私達伴奏ピアニストは密かに恐れてるのよ。
いい大人が、衆目のある中で、正体なくすほど怒り狂って、恥ずかしいと思わないのかしら。
必死になると羞恥心も消えてしまうってこと?
でも、こういう見方もあるかしら。
つまり、他の出場者に、その怒鳴り声でプレッシャーをかける・・・って、それはないか。
でも、恐いですよ、はい。
さすがに、出演直前の舞台袖では、怒鳴ることはないけれど、演奏中は、楽譜片手に演奏をチェック。
演奏が終って、子供が舞台袖に引き上げてくるやいなや、待ってましたとばかり、今の演奏に対してガミガミ、ガミガミ。
こういう調子だから、子供が反抗期に入ると、親子バトルが始まる。
なぜ、伴奏の私達まで迷惑な思いをしなければいけないのかしら。
伴奏料に「ドダキャー」迷惑料、上積みして下さい、お願いっ、て感じね。
* このシリーズはすべてフィクションです。
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