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「学生音コン」の思い出-ヴィエニャフスキ:協奏曲2番1楽章

3_Violin_by_Daniel_Jason_Karjadi
1958年(昭和33年)、「第12回全日本学生音楽コンクール」中学校の部の課題曲は、予選がヴィエニャフスキ:協奏曲第2番第2楽章、本選が同第1楽章であった。

第1楽章の最大の難関は、ワンボウ・スタッカート。

「いずみ会」(鷲見門下のおさらい会)前日の6月2日。

スタッカートの箇所に来ると、どうしてもうまく弾けない。弓が途中で飛ばなくなったり、音が不揃いになってしまった。

フレージングも速さも強弱も、充分に研究し、ほとんど思うように弾けるようになっているのに、ここだけが汚くなってしまうのだ。

「やるよ、できるよ」と言いながら繰り返すが、一向になめらかにできない。

細かく飛ばすコツがわからないようだ。

もっと肩を下げて、ひじの力を抜いて、手首を上げてと言うが、やはりうまくいかない。

「今晩中やってもできなかったら、明日は出るのをやめさせていただきましょう。ママ、先生にお電話してあげます。そんな恥ずかしいことを大勢の前で見せる必要ありません」

断固そう言い渡して、門下仲間の打ち合わせに呼ばれていたので私は外出した。

帰って来たのは11時近く。

練習室に入ると、まだ同じ場所で、同じ姿勢でいた。

すると

「ママ、ボクできたよ」と言う。「そう、聞かせて」と言うとやってみせたが、二度三度ちゃんと上手にできるではないか。

「よかったね、やっぱりできたね、うまいじゃない」

そう言って両肩をおさえると、はじめてポロリッとするのだった。

「ママが行ってしばらくしたら、ボクやり方がわかったんだよ」と言う。「そう、えらいえらい、明日はもう安心だね」と喜び合う。

やればきっとできるのだ。やろうと思えば ― 本気で思えば、できるのだ。

以上、和波その子著『母と子のシンフォニー』P241~242より

photo by Daniel Jason Karjadi

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 弦だとか弓の毛だとか、そんなことを意識しているようじゃだめなんだ。ヴァイオリンは弾くものじゃなく、歌うものだ。

レオポルド・アウアー(List

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