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【藝大力③】「飛び入学」 海外教授陣によるマスタークラス

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“藝大” ブランドの価値向上に貢献する人材を確保

「スーパーグローバル大学」の「グローバル化牽引型」24校に選出された芸大は、その構想の中で、国際社会における “藝大力” 発揮の例として、「世界的に権威ある展覧会・コンクール等での受賞・入賞」を挙げている。(構想調書(PDFファイル)11ページ)

受賞・入賞実績は、芸術系大学の国際ランキング指標のひとつとして有用なばかりでなく、芸大にとって「世界の有力芸術大学をも凌駕する国際ブランド “藝大” への飛躍」を目指す重要な橋頭堡となる。

芸大は自らその輝かしい実績を創り出し、世界に発信していく必要があるのだ。

当然のことながら入学する学生には、この国際ブランド “藝大” の価値を高めることに貢献できる人材が求められることになる。

そういった優秀な学生を早期に確保するために、今回の “藝大力” 構想の中で検討されているのが、「飛び入学制度」と「卓越人材ディスカバリープログラム」の2つの施策である。

「芸高」は、もはや早期教育ではない

戦前の東京音楽学校時代に、小学生からの早期英才教育を実践した 「上野児童音楽学園」 が一時存在したものの、これまでの歴史の中では芸大の早期教育に対する取り組みは必ずしも十分とは言えなかった。

桐朋学園をはじめとして私立音大では附属音楽教室を併設し、未就学児段階からの早期一貫教育を中学まで続け、高校で附属高校へと誘導する流れが確立されている。

一方で芸大の取り組みは、1954年創立の附属音楽高校(「芸高」)での高等教育のみに限定されてきた。

しかし、高校での教育は、もはや「早期教育」とは言えないのは明らかである。

構想では、「早い段階からのアーティスト育成システムの導入」を重要な選択肢のひとつと位置付け、「本学の附属音楽高等学校をはじめ、高校の段階から卓越した人材を発掘するため、「飛び入学制度」を導入」すると共に、「稀有な人材の早期発掘を行うとともに、国際的センスを涵養できるような人材育成プログラム」として、「卓越人材ディスカバリープログラム」を併せて運用するとしている。(同55ページ)

実施計画では、平成28年4月に「飛び入学」のシステムを導入、平成29年7月に「卓越人材ディスカバリープログラム」の構築・運用開始となっている。

待ち受ける難題

とは言え、日本の従来の学校教育制度は早期から専門性を鍛え上げるシステムとは馴染まず、例えば平成26年度の「飛び入学」実施大学は全国でわずか6校(うち国公立2校)にとどまっているという現実がある。(「飛び入学」は1998年に制度化されて以来16年が経つものの、実施する大学はほとんど広がっていない)

「平成26年度入試における飛び入学実施大学」(「文部科学省」公式サイト)

唯一の芸術系としてエリザベト音楽大学が導入している「飛び入学」は、1年間の学費免除等 の経済面での優遇措置とセットになっている。

「飛び入学」のためには、演奏力もさることながら、教科教育(特に英語はグローバル化のためには最重要の教科)を1年飛ばす以上、それに耐えうる十分な学力水準も要求されることになる。

今年から芸大で導入された 「特待奨学生制度」 (入試の成績優秀者に4年間の学費相当の総額250万円を給付)とどう並存させるか等、形だけに終わらない有効かつ魅力的な「飛び入学」制度の実現には、いくつかの難題が待ち受けている。

私立音大の攻勢に対抗できるか?

また、「卓越人材ディスカバリープログラム」については、「海外一線級アーティストユニットとの共同実践の場を、全国各地の、幼児から、小学生、中学生、高校生に対しても」幅広く提供する中で運用していくとしているが、具体的なプログラムの中身は示されていない。

「共同実践の場」とは、海外から招聘した専任教員らによるワークショップやマスタークラスを指すものと思われるが、それらを通じて発掘したジュニア世代の人材を、どのようにして芸大が継続的に育成し囲い込んでいくのか?

附属音楽教室の展開と、特別特待奨学生制度 や「ダブルスクール」前提の ソリスト養成プログラム 等の運用で、「囲い込み」戦略に関しては一歩先行している感のある私立音大の攻勢に対して、どのような早期英才教育プログラムを提供し対抗していくのか?

「世界の芸術系大学を凌駕しオンリーワンを目指す」と宣言する以上、国内勢との戦いに負けているわけにはいくまい。

芸大の “本気度“ が問われている。

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photo credit: somegeekintn via photopin cc

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