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【藝大力②】国際コン実績を重視 英語力はTOEICスコア明示

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国際コン優勝者が学長報告

それは「スーパーグローバル大学」の選考結果が発表される2週間ほど前のことだった。

芸大の公式サイト・トップに、「おやっ」と思わせる記事が掲載された。

「国際バッハコンクール1位の音楽学部2年岡本さん 学長へ受賞報告」

2014年7月にドイツ・ライプツィヒで開催された「ライプツィヒ国際バッハコンクール」のヴァイオリン・バロックヴァイオリン部門で、日本人初の第1位を獲得した音楽学部2年の岡本誠司さんが、宮田亮平学長に受賞報告を行ったという内容だ。

コンクールの入賞実績が公式サイトトップに掲載されるのは、私立音大なら当たり前だが、芸大ではかなり珍しいことである。

どちらかと言えばこれまでは、学生のコンクール入賞に関しては大学としては表向き「無関心」を装うのが芸大の常であった。(勿論、指導の先生方は大いに喜んでいたはずだが)

いちいち称揚していたらきりがないという、トップ大学としての「プライド」もあったのだろう。「情報公開」だから義務として載せてます式に目立たない形で 事実が羅列されてはいた が、私立音大のように学校の宣伝の一環として、大々的に取り上げるようなことはなかった。

だが、今回はかなり様子が違う。

学長室で入賞結果の報告の後、岡本さんの披露演奏となり、澤和樹音楽学部長も共演。「多数詰めかけた事務局職員からも大きな歓声が上がりました」というのである。

なんだか記事が華々し過ぎる。

一体どういう風の吹き回しなのか?

そんなことを思っていた矢先、芸大が「スーパーグローバル大学」に選定されたというニュースが飛び込んできた。

コンクール実績を「指標」に

「藝大力」構想では、実はコンクール実績(美術学部では展覧会実績も)はかなり重要な意味を持っている。

まず、「大学改革」の一環として求められる「教育情報の徹底した公表」への取り組みである。

構想では、教育研究成果の積極的な発信を重要な戦略のひとつにあげ、「展覧会やコンクールでの受賞歴等」の公表を「徹底して推進していく」としている。(構想調書(PDFファイル) 56ページ)

そしてさらに重要なのは、世界の芸術系大学の強みや特色の明確化のため、芸術系大学の国際ランキング指標の創出にもつながるアクティビティの検証を、芸大が世界に先駆けて実施するとしている点だ。(同13ページ)

芸術分野の場合は、一般的な大学ランキングの指標とされる「被引用論文数」等の定量的指標は馴染まないことから、「国際的な展覧会・コンクール等での受賞・入賞歴をはじめ、制作等活動実績や、社会実践や国際貢献活動に係わる実績等」を定量的な指標に替わり得るものとして今後検証していくとしている。

特にコンクール実績は大学自身の自己評価でない外部からの評価であり、客観的な指標として重要な意味を持ち得る。

突然、公式サイト・トップに現れた記事は、このように「藝大力」構想を明確に意識したものだったのだ。

そしてもうひとつ、この記事がグローバル時代の芸大生のあり方を絶妙に “宣伝” していることにも気づかされる。

記事では岡本さんの次の発言が取り上げられているのだ。

「世界で活躍するためには、語学力がとても重要だということを感じました。」

「英検準1級、TOEIC 600点」を基準に

構想では、学生の語学レベルの新基準を設定している。

「英検準1級、TOEFL iBT 50、TOEIC 600、実用フランス語技能検定試験2級、ドイツ語技能検定試験2級、実用イタリア語検定3級」

平成25年現在、この基準を満たす学生は学部生で14.6%、これを平成35年に61.9%に引き上げるとしている。(同27ページ)

英検準1級取得者のTOEICの平均スコアは730点程度というデータもあり、600点なら、英検では準1級と2級の間くらいではないだろうか。

器楽科の学生で言えば、センター試験の英語を平均何点くらい取って入学してきているのか、例えば客員招聘教授の英語レッスンは十分な理解の下に成立しているのかといった現状を踏まえてみると、TOEIC 600点あたりが「本音」の基準となるのだろう。

招聘される海外一線級アーティストユニット教員とは外国語によるコミュニケーションが必須となる。基本は英語で、ベルリン・フィルの奏者やベルリン芸術大学の先生ならドイツ語によるレッスンも可能となるが、これはかなり難しいだろう。

ただし声楽科の実技では現在でも「イタリア語やフランス語、ドイツ語を主体として行われている授業も存在しており、日本語による指導部分も含めて外国語に切り替えていくことで、全て外国語により実施する予定」としている。

いずれにしても、海外一線級アーティストユニット教員のレッスンで、学生が外国語を「運用せざるを得ない」状況に追い込まれることが、語学力強化の最大のポイントとなる。

実技以外の外国語のみによる授業は、現在、学部では0だが、10年後には全1820科目中185科目、10%ほどにするという。

充実する留学支援体制

構想では、学生の留学を支援するために新たに「グローバルサポートセンター」を設置し、専任教員1名、国際コーディネーター2名(アジア担当1名・欧米担当1名)、専門スタッフ5名を配し、留学前・留学中・留学後の手厚いサポートを実施するとしている。(同20ページ)

海外一線級アーティストユニット教員らは、ここでも「グローバルメンター」として学生の様々な相談に乗ることになる。

さらに海外拠点を設置し、現地留学生へのサポートと共に、海外からの留学生の受け入れ窓口としても機能させる。

欧州の拠点としては、ロンドン、パリ、ベルリン、ローマからは既に以前から誘致のオファーがあり、さらにウィーン、ブダペスト等とも協議を開始しており、「平成28年度当初を目処に整備予定」としている。(同37ページ)

現在芸大では、単位認定や研究派遣等で表れない形での国際経験(海外のマスタークラスや講習会への参加等を指すものと思われる)を積んでいる学生が学部で2割、大学院で6割いるという。これを拡充し、正規のカリキュラムへの反映や単位認定につなげるべく検討も進めていくとしている。(同18ページ)

次回は、「藝大力」発現のための長期戦略、稀有な人材の早期発掘に関する構想をレポートする。
【藝大力③】「飛び入学」 海外教授陣によるマスタークラス

※平成29年度入試より英検準1級・TOEIC 785点の受験生は英語「満点」として取り扱う。
【東京芸大】平成28年度 音楽学部入試 募集要項配布

photo credit: takako tominaga via photopin cc

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 ヴュータンは壮大なスタイルで書きました。その音楽はどこをとっても豊かでよく響くものです。自分のヴァイオリンをよく鳴らそうと思うなら必ずヴュータンを弾いてほしいですね。

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