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インディ国際が公式見解 : 「ネット上の批判」 とは無関係

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批判派「スリップディスク」 vs 擁護派「ヴァイオリニスト・コム」

アーロン・ロザンド氏が「インディ国際」の審査結果に対する批判を公けにしたのは、自身の生徒であるステファン・ワーツさん(「2014メニューイン国際」優勝)がセミファイナルで思わぬ敗退を喫したことが原因だった。

それが指導者としての「私情」に発したものだったとはいえ、ロザンド氏の「審査員の生徒が出場するコンクールはフェアではない」との主張は、あらためてコンクールの審査の難しさと問題点を浮き彫りにし、ネット上やメディアで様々な論議を呼ぶことになった。

ロザンド氏は、インディ国際のセミファイナルの結果が出た直後に、3つのネットメディアとコンタクトを取っている。

イギリスの音楽ジャーナリスト、ノーマン・レブレヒト(Norman Lebrecht)氏のブログ 「スリップディスク」“Slipped Disc” 、アメリカの弦楽情報ニュースサイト 「ヴァイオリン・チャネル」“The Violin Channel”、ヴァイオリニストで指導者のロウリー・ナイルズ(Laurie Niles)氏が主宰するコミュニティサイト 「ヴァイオリニスト・コム」“Violinst.com” の3つだ。

「スリップディスク」 は、「ヴァイオリニア」でも、ジュリアン・ラクリン氏のコンクールに関する意見 や、「パガニーニ国際」の審査態勢に関する記事 でお馴染みだが、今回のインディ国際の「偏った」審査に対する批判派の急先鋒と言ってよいだろう。

主宰者のレブレヒト氏はクラシック音楽界に知己の多い事情通で、ゴシップ記事も厭わない辛らつな批評家として知られる。

一方、「ヴァイオリン・チャネル」 は、今回の事態に対しては、客観的な事実 を報じるのみで、立場を明らかにしていない。

そして、「ヴァイオリニスト・コム」 だが、こちらはこのほど、主宰のロウリー・ナイルズ氏が、「インディ国際の結果は、色々反響はあっても、スキャンダルではない」とのタイトルで自身の主張を展開した。

“The outcome of the Indianapolis was not a scandal, but the reaction to it might be”

記事は、ファイナルの審査で、結果的にミリアム・フリード氏を審査員から降ろすという例外的な措置を取らざるを得なかったことについて、「次のコンクールまでに改善点として取り組むべきシステムの弱点を明らかにした」ことを認めつつも、全体的には、インディ国際の透明性の高い審査システムを評価し、今回のファイナルの審査での対応を擁護する内容となっている。

“前例のない事態” に採点システムが対応できない

この記事には、インディ国際の統括責任者であるグレン・クオック( Glen Kwok)氏の “公式見解” が登場する。

「ミリアム・フリード氏に審査辞退を要請することを決定したのは、(セミファイナルの結果を巡る)オンライン上の批判や意見とは全く関係がありません。それは、ファイナリスト6名中3名が彼女の生徒だという前例のない事態が生じたためでした。もし、ひとりの審査員が6名中3名しか採点できないとなると、十分な点数が入らないために、統計的観点から実質的に意味のある数字を得られない可能性がありました。」

「従って、6名全員にとって最も公平な結果を得るためには、フリード氏がファイナリスト全員の採点に加わらないことが必要でした。彼女はそれに全面的に同意しました。」

そして、審査委員長のハイメ・ラレード氏の場合は、生徒が1名だったので、コンクールの既存ルール通り、その1名の採点には加わらず、他の5名のファイナリストの採点には加わったとの説明だ。

しかしながら、その緊急措置は、なぜ、ファイナル最終日の前日(9月19日の深夜)というぎりぎりのタイミングで、突然発表されたのだろうか。

外部からの批判があって、“動いた” ?

9月17日から開始されたファイナルは、すでに3日間のプログラムを終え、翌日の最終日の演奏を残すのみとなっていた。

ファイナル進出者の発表は15日の深夜。その時点で、ファイナリストの師弟関係はプログラムにも記載されており、誰の目にも明らかになっていた。

コンクール組織委員会も、6名中3名がフリード氏の生徒であることは、その時点で当然把握していたはずだ。

にもかかわらず、なぜ4日間、何の動きも見せなかったのか。その間、対策を練っていたということだろうか。

そうだとしても、ファイナルの演奏が始まる17日までには、何らかの対策を打ち出すのが普通ではないか。

フリード氏は9月17日~19日まで、審査員席に座ってファイナルの演奏を聴き、採点を(あるいは採点の準備を)続けていたのだ。

統計的に問題が生じることを把握していて、そのような状況を放置しておくのは、どう見ても不自然である。

あるいは、統計上の問題が4日間はわからず、19日夜に突如判明したということか。

ロザンド氏の批判が公けになったのは、17日。それからネットが騒然となった。

影響力のある楽壇の重鎮が批判し、ネット世論に火がついた。

その状況に押されて、コンクール側が “重い腰を上げて” 対策に動いたのではないか。そう勘ぐられても仕方がない経緯を辿っている。

彼らは、批判が表面化しなければ、やはりそのまま押し通そうとしたのではないか。そんな疑問さえ生じかねない。

統計的に不公平が生じるというインディ国際側の理由付けを、額面通りに受け取れないのは、このあたりの事情があるからに他ならない。

photo : Wikimedia Commons

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 ヴュータンは壮大なスタイルで書きました。その音楽はどこをとっても豊かでよく響くものです。自分のヴァイオリンをよく鳴らそうと思うなら必ずヴュータンを弾いてほしいですね。

ウジェーヌ・イザイ(List

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