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コンクールで成功するための5つの鍵(アーロン・ロザンド)

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巨匠ヴァイオリニストであり、カーティス音楽院で国際コンクール入賞者ら多くの若手俊英を育ててきた名指導者でもあるアーロン・ロザンド氏。

コンクールやオーディションでの自らの審査員経験も踏まえつつ、コンクールで成功するための5つの鍵と1つの留意点について、弦楽雑誌 “The Strad” の公式サイトに一文を寄せた。

以下、その要旨をまとめておこう。

5つの鍵

正確であること

楽譜に注意を払うこと。テンポ記号、ダイナミクス、付点など、作曲家の記譜にじっくりと向き合うこと。

モーツァルトやベートヴェンの作品の新版の楽譜は、作曲家の自筆譜にアプローチしており、それらは作曲家の意図に関するヒントを与えてくれる。

リズムのコントロール

リズムを揺ぎなくコントロールすること。必要に応じて速度を整え、元のテンポに自然に戻れるように。また、速いパッセージでもパニックに陥らないように。

8分音符、16分音符、32分音符などを安定的に制御すること。フレーズに緩急をつける場合も、勢いを保持しつつある種の切迫感が出せるようにすること。

イントネーション

叙情的なフレーズ、速いパッセージをいかに処理するか。フィンガリングが重要な役割を担っている。

音楽的表現を最良のものにし、激しい局面でもできるだけイントネーションを正確に保てるように、賢明なフィンガリングを選択すべきだ。

練習は200%

本番では緊張して100%の演奏はできない。だから練習では200%を目指す必要がある。

偉大な演奏家たちも、聴衆のためにベストの演奏をしなければという思いから、出演前は皆、緊張したものだ。

私はジノ・フランチェスカッティがコンサートではいつも血の気が引いてしまうと語っていたことを思い出します。

1947年、ヤッシャ・ハイフェッツがフィラデルフィアでリサイタルを行った時、私はピアノから5~6メートルほどの席に座っていました。

ハイフェッツがステージに登場し、ピアノの横に立って調弦している時、私はハイフェッツのズボンが震えているのを目撃しました。

もはや平静を取り戻すのは無理なのではないかと感じるほどに、彼はこわばったままでしたが、演奏を始めるやいなや、彼は完璧にコントロールされた完全無欠の巨匠となったのです。

人並み外れた正しい方法による訓練の賜物に違いありません。

練習は試行錯誤と集中がすべてだ。

フィンガリングやボウイングの問題を解決するための異なった方法を多く試し、目標に対して集中し続けなければならない。

ヴィブラート

ヴィブラートを自在に変化させることができるかどうか。それは成功への大きな鍵となる。

音楽の特性に合わせて、ヴィブラートの速度をコントロールすること、幅の広いあるいは狭いヴィブラートの使い方を学ぶ必要がある。

途切れることなく続く均質なヴィブラートを開発しなければならない。一方で、過度なくどくなるヴィブラートは避けなければならない。

またバッハは最低限のヴィブラートを要求している。フーガは実際的にはヴィブラートなしで演奏することになる。

1つの留意点

以上の他に、多くの紙幅を費やしてロザンド氏が言及しているのが、コンクールの審査現場における「正しい演奏」をめぐる評価の問題だ。

ロザンド氏によれば、コンクールの審査員には「正しい演奏」があると主張する人と、解釈や個性に寛容的な考えを示す人がいて(ロザンド氏は後者)、審査員間でしばしば議論が白熱するという。

「正しい演奏」の考え方

私は何年にもわたって国際コンクールやオーディションの審査員を務めてきましたが、他の著名な審査員諸氏との間で次のような議論をして苦い思いを感じることが多々ありました。

彼らはこういいます。「ベートーヴェンはあのように演奏すべきではない」「あれはバッハではない」と。

私は次のように反論します。「もし演奏にそのような決まりきった秘訣があると言うのなら、演奏家の個性は一体どうなってしまうのですか? それならロボットにでも演奏させればよいでしょう」と。

音楽には「正しい」解釈と「間違った」解釈があると頑強に主張する審査員が一部にいて、そのような狭量な考え方が、才能ある若手奏者をコンクールの早いラウンドで排除してしまう場面を多く見てきた。

最近は作曲家の自筆譜に接することができ、スコアの解釈のあり方、何が正しいかという点について多様な意見が生まれるようになった。

弾き易さを追究したり、ボウイングの変化で味付けをして音楽に生命を吹き込んだり、様々な取り組みが可能だが、そのような部分的変更に非寛容な純粋主義者らがいるのだ。

バッハの無伴奏ソナタとパルティータはコンクールやオーディションで必ず課題曲となりますが、依然として審査員間での議論が絶えません。

自筆譜(あるいはバッハの妻が写譜した楽譜)にあるボウイングの通りに演奏しなければならないと考える人たちもいれば、必ずしも記譜通りには拘らず、作曲家の意図を尊重しつつ味付けを加える演奏に寛大な考えを持つ人たちもいます。

ベートーヴェンの場合は、ボウイングの記譜は実用的ではない。(彼はピアニストでありヴァイオリンの知識は限られていた)

だから、付点、フォルテピアノ、スービト、ダイナミクスや叙情の兆候など楽譜の細かい点にまで配慮して、注意深くボウイングを決定しなければならない。

スコアを尊重しつつ、音楽的な味付けを加える微妙な変化をつけることがベートーヴェンにおいては可能だろう。

“Violinist Aaron Rosand on how to succeed in competitions and auditions”(“The Strad”)

photo credit: Steve Snodgrass via photopin cc

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 ヴュータンは壮大なスタイルで書きました。その音楽はどこをとっても豊かでよく響くものです。自分のヴァイオリンをよく鳴らそうと思うなら必ずヴュータンを弾いてほしいですね。

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