Violinear

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「学生音コン」大阪大会では「拍手」は禁止されていない

33_640px-Juan_Gris_-_Violine_und_Glas_-_1913

拍手によって音楽は完成する

演奏者は、曲を「描く」。

楽譜から明らかになるモチーフと構図。

旋律によりデッサンし、様々な音と響きにより彩色を施していく。

抑揚は色調のコントラストを際立たせ、リズムは筆触(タッチ)の変化を司る。

声部の重なりは、塗り重ねた絵の具の発色効果を示す。

音を作ることは、色を作ること。

そして、演奏者が描くキャンヴァスを交換するのは聴衆の役回りだ。

1曲が終われば、出来上がったキャンヴァスを引き取り、次の曲のための新しいキャンヴァスを用意する。

余韻のある終結部では、キャンヴァスを引き取るタイミングを推し量らなければならない。絵筆を置いても、演奏者はまだ、描いている。

1つの楽章が終って、それが稀に見る完成の美を湛えていたならば、聴衆はキャンヴァスを交換したい気持ちを抑えられなくなる。

拍手の「拍」は、「てへん」に「白」と書く。

手と手を打ち鳴らす間に、完成したキャンヴァスを引き取り、白いキャンヴァスを用意する。演奏者を称え、作品の完成を共に喜び、次の作品への期待を込めて、拍手をする。

この楽曲間のキャンヴァス交換のための間合いこそが、演奏者と聴衆との交感のリズムを創り出すのだ。

拍手、演奏、拍手、演奏、拍手・・・演奏、拍手。

拍手で始まり、拍手で終る。

そのようにして、「全体としての音楽」が、完成する。

勇気ある行動が創り出したもの

従来、拍手のないことが当然であり、今やルールのようになってしまった感があったザ・フェニックスホールに、その日、遂に拍手が鳴り響いた。

最初のコンテスタントから、最後のコンテスタントまで。

2007年「学生音コン」バイオリン部門・大阪大会・中学校の部本選は、拍手で始まり、拍手で終ったのだ。

拍手の主は、事前に拍手が可であるとの情報を得て、自ら率先して拍手をしようと決意して、臨んだ。

最初のコンテスタントが舞台袖から登場。拍手をしたが、誰も追随してくれない。

決意が揺らぐ。やはり誰も続いて、拍手をしてくれない。演奏が終ったら、どうしようか。拍手しようか。

随分悩んだが、勇気を出して、拍手した。

冷たい視線を感じるばかりだった。

それでも、めげず、遂に、最後のコンテスタントが終るまで拍手をし通した。

途中から、ぱらぱらとだが、他の方の拍手が聞こえてきたのが何よりも救いとなった。

ということで,大阪大会中学生の部は拍手があったということになるのでしょうか。開演の案内時に拍手は可と一言アナウンスしていただければ、演奏者も聴衆も、もう少しリラックスして音楽に集中できるのにと、悔やまれてなりません。そんな事情もありまして肝心の演奏の方はなかなか集中して聞くことが出来ませんでしたが、全般的にレベルは高かったと思いました。(拍手をした勇気ある方のコメントより)

冷たい静寂の空間に、暖かい交感のリズムを創り出した、この方の真に勇気ある芸術的な行動に、心より拍手を送りたいと思う。

photo : File:Juan Gris – Violine und Glas – 1913.jpeg – Wikimedia Commons

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 ヴュータンは壮大なスタイルで書きました。その音楽はどこをとっても豊かでよく響くものです。自分のヴァイオリンをよく鳴らそうと思うなら必ずヴュータンを弾いてほしいですね。

ウジェーヌ・イザイ(List

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