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【審査員の弟子問題】 ブロガー vs コンクール責任者

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あのブログが再び「審査員の弟子」問題を批判

国際コンクールの審査結果を巡って、再びホットな議論が巻き起こっている。

スイス・ベルンで開催中の 「第1回ボリス・ゴールドシュタイン国際ヴァイオリンコンクール」 の第1ラウンドの審査結果についてだ。

第2ラウンド(セミファイナル)に進んだ14名のうち9名がザハール・ブロン氏の生徒であると、イギリスの音楽ジャーナリスト ノーマン・レブレヒト(Norman Lebrecht)氏が自身のブログ「スリップディスク(“Slipped Disc”)」で批判した。

“Zakhar Bron stacks finals with his own pupils. Again.”

ザハール・ブロン氏は自身の師を記念した同コンクールの創設に関わり、審査委員長も務めている。

記事は皮肉を込めてこう書かれている。

このコンクールが完全にクリーンであり、裏で何かが行われていない透明なものであることがよくわかった。

なにしろ14名のファイナリストのうち9名がブロンの生徒なのだから。

加えて、イダ・ヘンデルが審査員リストに入っているが、聞くところによると彼女は招待されていないそうだ。これがどれほど透明なことか。

ファイナリストはセミファイナリストの間違いである。

「スリップディスク」は昨年9月に起きた「インディ国際」の「審査員の弟子問題」(※注)で、発端となったアーロン・ロザンド氏の批判を最初に取り上げて議論の火付け役となったブログだ。

業界の情報通で人脈が豊富なレブレヒト氏が、毎日10数本という驚異的なペースで記事を量産。1本1本の記事は短く、さすがに書き飛ばしている側面もあるようで、中には根拠が少々薄弱と思えるゴシップ記事も見受けられる。

コンクールディレクターが真っ向から反論

批判された当事者はまともに取り合わずスルーする場合も多いと思われるが、今回は何と同コンクールの責任者(director)が、コンクール開催中にも関わらず、記事の批判を受けて立ち、反論のコメントを寄せた。

ノーマンさんへ。

あなたの記事は信じられないし馬鹿げています。

1)あなたは我々がウェブサイトに公開している出場者のビデオ映像を全て隅々まで見ることができます。これは実に透明なことです。

2)我々はあなたにベルンに来てこのコンクールの記事を書いて頂きたいと思い招待状を出しましたが、あなたはこれを拒否しました。拒否の理由がわかりません。我々の目的はできるだけ多くのジャーナリストを招待し、コンクールのレポートを書いて頂くことでした。これも実に透明なことです。

3)イダ・ヘンデル氏にはかなり前に招待のオファーを出し、承諾して頂きましたが、特別な問題が生じたために結局出席は取り止めとなりました。私は彼女の友人にこの事情に関してウェブサイトで明らかにするようお願いするつもりです。あなたの記事はまったく信じられません。それは偉大な審査メンバーであり指導者でもあるヴィクトル・ピカイゼン、ヤール・クレス、イゴール・オジムら各教授に批判の矢を向けるものでもあります。

私はすべての人にウェブサイトのビデオを見て頂きたい、そして事実に基づく評価を書いて頂きたいと思います。

あなたの記事は事実に基づいておらず、プロフェッショナルが書いたものとはとても思えません。

ナンド・フォン・アルメン(Nando von Allmen)
コンクールディレクター

ビデオは YouTube ではなく、ダウンロードしてアプリケーションで視聴する形式なので、なかなか全部を見るのは大変だ。

コンクール期間中にも関わらず、コンクールディレクターがブログに目を通してコメントを寄せるのは、「インディ国際」以降、高まっている「審査員の弟子問題」への関心に、コンクール側も神経を尖らせているからだろう。

今後も議論は続く

同コンクールや「インディ国際」に限らず、審査員の生徒が出場し、そして勝者となるコンクールは、他にいくつも存在する。

直近では、「ロン=ティボー=クレスパン国際」がそうだった。ナショナルコンクールの中には、ファイナリスト4名のうち3名が審査員の生徒で、その採点表が公表される「透明な」コンクールも存在している。

審査システムがどうあれ、そして、明確な順位が付けられるかどうかは別として、コンクールのラウンドを勝ち抜いたコンテスタントの実力は、どのコンクールにおいても明らかに高いレベルにあることは誰もが認めるところだろう。

その中で、どのような審査システムを採れば、公正で納得できる入賞結果を得ることができるのか。(あるいはそんな結果を得るのはそもそも無理なのか)

解答は容易に得られそうもないが、「インディ国際」で一度火が付いたこの問題は、コンクールの結果が出るたびに、今後も欧米のネット上で議論を呼ぶことになるだろう。

※注

「第9回インディアナポリス国際ヴァイオリンコンクール」のファイナリスト6名のうち4名が審査員の生徒で、うち3名がひとりの審査員(ミリアム・フリード氏)の生徒であることが判明。自らの生徒がファイナルを逃したアーロン・ロザンド氏がこれを批判し、ネット上で議論が巻き起こった。

コンクール組織委員会が審査を公正に実施するため、急遽、ミリアム・フリード氏にファイナルの審査を辞退するよう要請し、フリード氏がこれを受け入れた。

優勝は審査委員長のハイメ・ラレード氏の生徒であるチョ・ジンジョ(Cho Jinjoo)さん。彼女のファイナルでの演奏が優勝に値するものであったことはアーロン・ロザンド氏も認めている。

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photo by Christophe95

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 ヴュータンは壮大なスタイルで書きました。その音楽はどこをとっても豊かでよく響くものです。自分のヴァイオリンをよく鳴らそうと思うなら必ずヴュータンを弾いてほしいですね。

ウジェーヌ・イザイ(List

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