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【2014学生音コン】 東京大会小学校の部・本選結果レヴュー

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「第68回(2014年)全日本学生音楽コンクール」バイオリン部門・東京大会・小学校の部は、サントリーホール ブルーローズで、10月19日に本選が行われた。

本選課題曲は、モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲 第4番 第1楽章であった。

小4が1位・2位、42年ぶりの快挙

10月19日、サントリーホール ブルーローズに、厳しい予選を勝ち抜いた17名のコンテスタントによる渾身のモーツァルト4番が響き渡った。

もし、ヨーロッパのどこかの都市で、この17名が演奏したらどうなるだろうか?

10歳前後のコンテスタントが、これ以上ないほどのレヴェルでさらい込んだ瑞々しい音楽を全身で聴き味わいながら、そんなことを想像した1日だった。

この日のブルーローズも温かい喝采に包まれたが、世界的に見ても間違いなく最高水準にある彼らの演奏をヨーロッパの聴衆が立て続けに聴けば、ブラヴォーとスタンディングオベーションで迎えることはまず間違いないだろう。それがコンクールであったとしても。

決して大げさではなく、世界最高レヴェルにあるローティーンの演奏が、毎年この場所では当たり前のように繰り広げられているのだ。

そして今年我々は、68年のこのコンクールの歴史を紐解いても、極めて稀な「夢」の実現のシーンに新たに立ち会うこととなった。

「学生音コン」初挑戦の小学校4年生が第1位と第2位を占める。

それは東京大会において1972年以来、実に42年ぶりの快挙であった。(1972年の第1位は米谷彩子氏、第2位は千住真理子氏)

17名のうち6名が小4という予選結果が、すでに「小4ニューパワー」の台頭を印象づけていたが、その勢いは本選において1位と2位の獲得へと一気に成就したのである。

過年度入賞組の再トライがないという「世代交代期」に当たった幸運もあったにせよ、この学齢の実力者の厚い「層」が形成されつつあることを如実に物語る結果となった。

そして、奨励賞の1名も加えて、小4が3名受賞するという例も、1967年以降では初のことである。※東京大会本選プログラム巻末の入賞者データは1949~1966年まで学年が掲載されていない。

とは言え、受賞者の演奏のみが秀でていたわけではないことは、世界的にも稀有なレヴェルにあるこのコンクールが示す大きな特徴のひとつでもある。

正しいイントネーション、一音一音の明瞭な発音、自然な音の「流れ」と強弱・・・。いくつかのポイントに注意しつつ聴いても、受賞者の演奏に比べ遜色があったとは思えない演奏がいくつかあったことを指摘しておきたい。

減点法ではなく加点法で考えた時に、どの奏者の演奏を採るのか。音量か、闊達さか、伸びやかな表現か。審査の重点は恐らくそこにあったのではないだろうか。

快挙に心を躍らせる反面で、高いレヴェルにおける僅かな差に線引きする「学生音コン」の苛酷な現実を改めて思い知らされる1日となった。

グローバル時代の若きパイオニアたちへ

見事に入賞を果たしたコンテスタントも、惜しくも入賞を逃したコンテスタントも、これから先も多くのセレクション(コンクール・受験・オーディション等)を受けることになるだろう。

その際に、必ず付いて回るのが、モーツァルトの協奏曲、とりわけ3番~5番の3曲であることは言うを待たない。

10月19日に演奏したモーツァルトは、あくまでも「今の段階」のモーツァルトにすぎない。

「学生音コン」以上に苛酷な線引きを行う 「日本コン」 に限らず、国際コンクールでもモーツァルトはしばしば難関とされる。一音の濁りも一片の瑕疵も許されない完成度が求められるのだ。

「今の段階」のモーツァルトが評価されたら「次の段階」へと進まなければならない。それは自らの実力の現在地を確認する重要な指標となるはずだ。

技巧を高め、解釈を深め、常に完成度を上げていく。

「学生音コン」に集った若き演奏家らは、グローバル化待ったなしのこれからの時代に、世界に日本の音楽の実力を示していくパイオニアとなり得るだろう。

10歳前後では間違いなく世界から得られる「喝采」を、10年後に世界のメジャー国際コンクールの大舞台で得られる「喝采」へと現実化させていくために。

その歩みを止めてはならない。

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 ヴュータンは壮大なスタイルで書きました。その音楽はどこをとっても豊かでよく響くものです。自分のヴァイオリンをよく鳴らそうと思うなら必ずヴュータンを弾いてほしいですね。

ウジェーヌ・イザイ(List

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