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【2014学生音コン】 全国大会中学校の部・結果レヴュー

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「第68回(2014年)全日本学生音楽コンクール」バイオリン部門・中学校の部は、横浜みなとみらい小ホールで、11月30日に全国大会の審査を行った。

各地区大会に入賞した13名(東京6名・大阪3名・北九州2名・名古屋2名)が、それぞれ選んだ自由曲(13分以内)を演奏した。

難曲の向こうにあるもの

13名中、ヴィエニャフスキの作品を選んだコンテスタントが6名。協奏曲第1番第1楽章が3名、協奏曲第2番第3楽章が1名、創作主題による変奏曲が1名、モスクワの思い出が1名。

特に協奏曲第1番を3名が選んだのには、正直、度肝を抜かれた。

協奏曲と言うよりも、超絶技巧ショウピースと言ったほうがよい。音楽的な完成度の点では、明らかに第2番に譲る第1番は、プロ奏者でも躊躇があるのか、録音されたCDは極端に少ない。

もっとも、4年前に小学校の部全国大会でこの曲を弾いて第1位になったコンテスントが、今年日本音コンを制するという輝かしい戦績があるのも事実。

が、それはレアケース。リスクのあるチャレンジングな選曲に違いないと思っていたのだが、受賞結果は、このヴィエニャフスキ第1番第1楽章を弾いた2名が、第2位、第3位となった。

先ほどの戦績には続きがあり、同じコンテスタントが2年後、今度は中学校の部でバルトークの協奏曲第2番第1楽章を弾き、やはり第1位となっている。

当時はバルトークが中学校の部で弾かれることはほとんどなかったが、今年の中学校の部の第1位のコンテスタントは、このバルトーク第2番を選んでいる。

同じことが、今年の第2位のコンテスタントが弾いたショスタコーヴィチの協奏曲第1番第3~4楽章についても言えるだろう。(2009年第1位のコンテスタントが演奏、翌年日本音コンを制した)

誰かが殻を破って難曲を弾けば、それがすぐに「標準」となってしまう。

昨年のレヴューで、「今後も全国大会は、演奏曲のバーを究極に引き上げた状況での競い合いは避けられまい」と書いたが、もはや中学校の部ではどんな作品が弾かれようと驚くには当たらないレベルの競い合いが展開されるようになったと言えるのかもしれない。

その中で問われてくるものは何か。

楽曲を深く解釈する姿勢、楽器を歌い切る力・音質・表現の深み等への絶えざる探求を通して培われる演奏家としての基本的なテンペラメント(気質)に他ならないだろう。

その意味でも、中学校の部の本選曲レヴェルにあるメンデルスゾーン、サン=サーンス、ラロ等を、十分な完成度と豊かな響きで歌い切る演奏の数々にも、現在国内最高水準にある中学生が持つ様々な可能性を感じ取ることができたのも事実だ。

“ナショナルコンクール” のその先を見据えて

中学校の部では、小学校の部で入賞実績のあるコンテスタントもおり、「経験値」の上では拮抗していて差がない。

時間と場所を変え、演奏曲を変え、審査員を変えれば、全く異なった入賞結果が出る可能性もあるだろう。

とにかく第1位を取りたいと、それをモチヴェーションに精進に励む人も多いが、目指す全国大会で出される1位は1名かせいぜい2名。しかも「学生音コン」はあくまでもナショナルコンクールであり、世界に出れば、苦労して勝ち取ったその実績は通用しない。

入賞によって得られるのものは自信と演奏機会のみ。入賞直後からまた、さらなる高みへと自らを引き上げるべく努力の日々が始まることになる。

だからこそ常に「学生音コン」の先を見据えたヴィジョンを持つこと。

それを、全国大会出場のすべてのコンテスタントには期待したいと思う。

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 ヴュータンは壮大なスタイルで書きました。その音楽はどこをとっても豊かでよく響くものです。自分のヴァイオリンをよく鳴らそうと思うなら必ずヴュータンを弾いてほしいですね。

ウジェーヌ・イザイ(List

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