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【2014学生音コン】 全国大会小学校の部・結果レヴュー

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「第68回(2014年)全日本学生音楽コンクール」バイオリン部門・小学校の部は、横浜みなとみらい小ホールで、11月30日に全国大会の審査を行った。

各地区大会に入賞した13名(東京6名・大阪3名・北九州2名・名古屋2名)が、それぞれ選んだ自由曲(10分以内)を演奏した。

「経験値」が生む揺ぎないステージングセンス

昨年は、1位から3位までがすべてダブル受賞。計6名もの入賞者を出し、さらに僅差で入賞を逃したコンテスタントも出るなど、稀に見る大激戦となった小学校の部の全国大会。

今年は、入賞者数こそ3名と落ち着いたものの、昨年の流れをそのまま引き継ぎ、小学生とは思えない高い水準で、容易に甲乙がつけ難い完成度を示す演奏が相次いだ。

それぞれの個性を際立たせる楽曲の選択の妙、深く温かみのあるみなとみらい小ホールの音響特質と相まって、コンクールの審査会であることをしばし忘れさせるような熱演が、多くの聴衆を魅了した。

その中で第1位に輝いたのは、ヴィエニャフスキの創作主題を、難技巧を超えた美しい音楽として昇華させた名古屋大会代表。昨年の全国大会では、チャイコフスキーの協奏曲第1楽章弾いて第2位となっている。

小学校の部の全国大会は、これで4年連続して、第1位を前年度の全国大会出場者あるいは入賞者が獲得したことになる。

予選・本選の厳しい審査を通過し、全国大会に駒を進める。その経験を重ねることが、コンテスタントの糧となり、一段の飛躍を遂げる基盤となっている。その「経験値」が生み出す余裕は、ステージでの表現を堂々と揺ぎないものとする。

ピエール・アモイヤル氏が語ったコンクール審査員の 3つの観点 のうちの一つ(「十分に高められたステージングセンス」)に通じるものだ。

史上初、第2位・第3位を占めた「小4ニューパワー」

今年の全国大会は、初めての出場ながら「学生音コン」の異様とも言える独特な雰囲気を物ともせず、予選・本選を勝ち抜いてきた小学校4年のコンテスタントが4名いた。

2010年にも小4が4名いたが、この時の入賞者はゼロ。今年は第2位と第3位を獲得した。

小4の複数入賞は、2006年に全国大会で第1位~第3位が設定されて以来初の快挙。小4の入賞は、昨年・一昨年も各1名(3位)ずつ出ており、今年は全国大会での台頭が強く印象付けられる結果となった。

「経験値」がなくても、ラウンドを経ることで生まれる勢いと前向きなパワー、ひたむきに音楽に向かう姿勢。

楽曲の完成度もさることながら、小さな体から直接的に伝わる懸命さは、これもまたアモイヤル氏が言う「ポジティブな存在感」に通じるものだろう。

第2位のコンテスタントの演奏曲は、パガニーニ:協奏曲 第1番 第1楽章。実力者しか選択し得ない「リスク」もある言わずと知れた超難曲。

一方で、第3位のコンテスタントは、ラロ:スペイン交響曲 第1楽章。「学生音コン」小学校の部本選に頻出するオーソドックスな楽曲だ。

全国大会の自由曲の選択基準は、難易度が重要な要素ではあっても、それがすべてではない。審査の観点は多様であり得る。

超難曲であれ本選課題曲並みの楽曲であれ、それらをどの水準まで仕上げれば入賞ラインに届くのか。今年の全国大会は、それを間近で見聞できる貴重な機会となった。

僅差には講評で配慮を

入賞は3名であったが、入賞圏にあると思える演奏は他にも複数あったように思う。各審査員の持ち点25点満点のうち、わずか1点の違いは何によるものか。それを明確に説明するのはとても難しい。

しかしながら賞は結局、そのような得点による線引きのみで決められてしまう。入賞ラインに近いコンテスタントがいても、彼らへの評価の仕組みをこのコンクールは備えてはいない。

もし僅差で入賞を逃したコンテスタントがいた場合は、昨年のように講評で氏名を挙げ、健闘を称える配慮がなされることを切に願いたい。

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 ヴュータンは壮大なスタイルで書きました。その音楽はどこをとっても豊かでよく響くものです。自分のヴァイオリンをよく鳴らそうと思うなら必ずヴュータンを弾いてほしいですね。

ウジェーヌ・イザイ(List

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