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【2013学生音コン】 東京大会中学校の部・予選結果レヴュー

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「第67回(2013年)全日本学生音楽コンクール」バイオリン部門・東京大会・中学校の部は、千駄ヶ谷・津田ホールで、8月31日と9月1日に予選が行われた。

予選課題曲は、ヴィエニャフスキ:新しい手法 op.10-6 “Prélude “(繰り返しなし)。

80名がエントリーし、16名が予選を通過して本選に進出。競奏率は5倍だった。(昨年は92名エントリー、13名本選進出。7.08倍。一昨年は82名エントリー、16名本選進出、競奏率5.13倍)

競奏率は昨年の7倍から5倍へと軽減され、ここ数年の平均倍率に戻った。

エントリー数が前年より12名も減った中で、本選進出者が3名増加。サントリーホール・ブルーローズでメンコン1楽章を演奏できる人が増えたのは、何よりも喜ばしいことだ。

一方、競奏率が低下したからとはいえ、例年見られる過年度に入賞・入選した実績のあるコンテスタントの優位には、今年もさほど大きな変化は見られなかった。

本選進出16名のうち11名は、昨年・一昨年に中学校の部あるいは小学校の部で入賞・入選している「過年度実績組」である。特に中1の4名は全員が、昨年の小学校の部の入賞・入選者であった。

これは、中1からの「学コン」初入選が、いかに至難であるかを物語っている。

過年度に1位~奨励賞を獲得した「過年度入賞組」に注目すると、一昨年(2011年)の東京大会・小学校の部の1位(2名)・2位・3位全員が、今回の中学校の部の本選進出者に名を連ねている。

しのぎを削るライバル間の「競奏」は、小学校の部から中学校の部へとステージを変えても継続し、各コンテスタントは東京大会さらには全国大会で、より上位の順位を獲得したいという熱き思いを胸に秘めているのだろう。

たった1曲で「線引きする」辛さ、でも前を向こう!

ところで審査の観点から言えば、予選の課題曲ヴィニャフスキのエチュード・カプリース「新しい手法」1曲で、一体何がわかるのか、と問われれば、わからないことはやはりあるだろうと思う。

だが、予選の機能が本選進出者を絞り込むことのみにあるとするならば、並べて弾かせてみた時に、短時間で差異を顕在化させるに、これほど効率的なコンクールピースはないのもまた事実なのだろう。

予選の津田ホールでは、難技巧を危なげなく処理し、イントネーション・音量・音質の点でも申し分なく演奏を展開し、他との「違い」を際立たせた演奏のいくつかに、確かに出会うことができた。

それらは私の評価では、ことごとく ◎ であったのだが、一方で短い演奏時間ゆえに、無難に進行したものの全体の印象としては「今ひとつ」後に残らないように思われた演奏、あるいは、コンテスタントの長所と共に、課題のほうも「少々」現れてしまった感のある演奏のいくつかについては、どのように評価すべきか、かなり迷ったのも事実だ。

◎ の演奏と比べ、「今ひとつ」とか、「少々」とかいう形容で呼ぶしかない程度の違いなのだが、それがこれ1曲であるがために、予選通過ラインの線引きの決め手になってしまいかねない恐れがある。

過年度実績組でもその点で涙を飲んだとしか思えないコンテスタントもいたように思え、そこはとても気の毒に感じた。それが審査の現実とはいえ、実に実に辛いところである。

と、書けば書くほど、課題曲のみならず、評価にも、あのヴィエニャフスキ特有の「ウニャウニャ」感が漂ってくるようで、その曖昧さのままに結論を下してしまったような、なんともすっきりしない感じが残ってしまったのが正直なところである。

1回の予選で、しかもたった1曲の技巧的なエチュード・ピースのみで、コンテスタントの全体像は決して評価できはしないはずだ。

本選進出を逃したコンテスタントには、心からこうエールを贈りたいと思う。

「前を向こう! こんなウニャウニャに負けるな!」

photo by Wiiii

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 ヴュータンは壮大なスタイルで書きました。その音楽はどこをとっても豊かでよく響くものです。自分のヴァイオリンをよく鳴らそうと思うなら必ずヴュータンを弾いてほしいですね。

ウジェーヌ・イザイ(List

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