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【2013学生音コン】 東京大会小学校の部・本選結果レヴュー

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「第67回(2013年)全日本学生音楽コンクール」バイオリン部門・東京大会・小学校の部は、サントリーホール ブルーローズで、10月20日に本選が行われた。

本選課題曲は、ヴュータン:ヴァイオリン協奏曲 第2番 第1楽章であった。

力強く美しいヴュータン2番

小学校の部の受賞者は、昨年に続いて6名。全員が全国大会進出となった。

受賞者6名のうち3名は、昨年も入賞・入選している。(昨年の奨励賞&全国3位が1名、入選が2名)

今年のエントリー数が65名と、前年より26名も減少した原因の一つと考えられた難関のヴュータン2番であったが、ハイレベルな激戦が展開された予選を勝ち抜いてきただけあって、19名のコンテスタントは誰もが、この難曲をよくさらい込み、技巧的要素のみに汲汲とすることなく、力強くまた美しい音楽を聴かせてくれた。

「ヴュータンの第2協奏曲は、実際は彼が16才の時に作曲した最初の協奏曲です。若き作曲者は「ヴィオッティの協奏曲の壮大な形式と近代の技法上の要求との結合」という野望を抱いて猛然と筆を進め、甘い旋律とクドい位の技巧を盛り込んだ “気合いの逸品” を作り上げました。」(CDのライナー・ノーツより)

演奏会で採り上げられることなどまずないヴュータン2番を19回連続で聴くという稀有な体験の中で、難しければ難しいほど意欲が湧くタレンティッドな小学生が、若きヴュータンの野望に負けじと、全力でこの曲に挑んできたこの6か月の日々に思いが及んだ。

完成度と演奏体力、実戦経験を養う

技巧を組み伏せ、甘美な情感を自在に際立たせるのは実に至難であるが、この曲を各部の難所や聴かせ所のパーツとして捉えるのではなく、見通しのきいた設計の上に立って、細部にまで留意しつつ全体の曲趣を創り上げようと努め得た演奏が、入賞圏内に入ってきたように感じられた。

逆に、それを十分にこなせる実力がありつつも、予選と全国大会の曲との兼ね合いから、総仕上げのための十分な練習時間が取れなかったためか、完成度の点で今一歩の域に留まったり、曲後半で演奏体力が消耗したかに見える場合があったように思う。

練習してきたことを100%出すこともまた、至難の技である。緊張するステージで平常心を失わないマインドも、不調だが何とか乗り切れる力も、踏んだ場数の多さ、つまりは十分な実戦経験によって身に付く場合がある。その差が出た側面もあるのかもしれない。

常に「一生懸命」であれ

かつて鷲見三郎先生が、「少なくともコンクールに出ようという人の演奏に、一生懸命さが感じられないのでは具合悪いですよ」と言ったことがある。(『鷲見三郎 / ヴァイオリンのおけいこ』(音楽之友社))

「学コン」に挑むコンテスタントは、課題曲の難しさもあって、間違いなく全員が「一生懸命」である。

「一生懸命」に練習した成果を、ステージ上で「一生懸命」に発表する。

これからもコンクールの結果によって自信をつけたり、逆に自信を失ったりすることがあるかもしれないが、この道はそのことの繰り返しである。

「学コン」「日コン」「国際コン」・・・ ほとんどの人が多くの浮き沈みを経験せざるを得ない。

そんな日々の中でも、貫くべき原則は、ひとつ。

常に「一生懸命」であること。

コンクールでの浮き沈みに惑わされず、常に「一生懸命」に楽曲に取り組む。

それを、たゆまずに続けていこう。

photo : Author:っ File:Suntory Hall 1.jpg – Wikimedia Commons

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 ヴュータンは壮大なスタイルで書きました。その音楽はどこをとっても豊かでよく響くものです。自分のヴァイオリンをよく鳴らそうと思うなら必ずヴュータンを弾いてほしいですね。

ウジェーヌ・イザイ(List

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